今月からウルトラジャンプは紙媒体と電子書籍が同日発売となりました。3月号と4月号もおいてあります。コンプエースのように来月からは電子版を買おうかな。
……って来月ローゼン休載かい!
扉絵はセンターカラー。大正ロマンな切り絵風の翠星石です。「女乙」は「おんなおつ」じゃなくて「おとめ」。
13階のお茶会
あるはずのない13階は薔薇乙女の箱庭につながっていました。
華がそこで出会ったのは……金糸雀と雛苺。外見年齢の低い次女と六女です。
ここはどこなのか、どうすれば出られるのかと尋ねても、2人はお茶会に夢中でいまひとつ相手にされない。
「ダメだ、この子らカワイイだけで理性的な話がなんもできねぇ……」
心の声とはいえ随分とストレートである。実際できないことはないんだけど、マイペース過ぎるんだよなあ。
この箱庭は薔薇乙女が次の誰かに薇を巻かれるまで待つ場所。鞄の中で眠る薔薇乙女は、眠りのさなかここに還ってくるのだとか。
そういや翠星石は鞄に入らず野ざらしで眠っていて、記憶が欠けているんでしたね。この箱庭は薔薇乙女が薔薇乙女であるために重要な役割を果たしているようです。
「糖蜜の井戸の七姉妹」の「姉妹になる前に消えた娘」は「ゼロ」、「お話の中でまだ生まれていない最後の娘」は雪華綺晶のことでしょうね。
ヤンジャンの最終回を考えると「6人が幸せに暮らした」があながち間違ってないのがなんとも皮肉である。いやでも、きっと彼女が目覚める方法は見つかると信じたい。
ヒナカナはただのほほんと夢のお茶会を楽しんでいるというわけでないらしく。止まった時計を、というか時間を動かす方法を探しているようです。このままだと新しいマスターに出会えない、あるいは出会ったとしても目覚められないのですかね。
翠星石の記憶喪失といい、アリスゲームを始めさせたくない何者かがいる予感がする。
もっと言えば、薔薇乙女が薔薇乙女であって欲しくない何者かが……。
井戸に飛び降りれば出られるかもしれないって、テリーのワンダーランドじゃないんだからさあ。不思議のダンジョンになってるかもしれないじゃん。
「フワッと」は「一気に」「ドボーン」と組み合わせる言葉じゃないっすよ策士さん。勢いをつけるか削ぐかどっちかにしてくれ。
悪びれが微塵もない無邪気な顔とあいまって、先ほどの華の寸評が当たらずといえども遠くないものになってしまってるよ。
傘を渡すときの金糸雀のドヤ顔は、自称頭脳派乙女のなんたるかがよく分かる良い表情ですね。とりあえず華は戻れたので失敗ではない……のか?
桜田家侵入失敗のイメージが強いだけで結構優秀なんだよなこの子。楽してズルするより正面突破のほうが得意っぽいけど。
ファンアートでも共に描かれることの多いこの2人ですが、金糸雀の登場と雛苺の退場が近かったせいで、原作で一緒にいた時間はそう長くないんですよね。見慣れたようでそうでない組み合わせ。
遥雲閣へ行こう!
菊は文字通り翠星石を抱えて遥雲閣に向かいます。翠星石を隠すため虚言を重ねる菊を見ているとハラハラする。ココロは負けない。
十数年前のバラエティみたいな翠星石の無茶振りで坊ちゃまに感謝の言葉を伝えるもやや馬耳東風気味。
雇い主として、そして結菱家の者として使用人の困り事には全力は尽くしているけれど、個人と個人のやり取りには鈍感らしい。そもそも口を開けば薔薇乙女薔薇乙女だし。
……「結菱家」って言いましたね。直系の先祖でないにしろ結菱一葉の血縁にあたるのでしょう。結婚できるできない以前に興味がないような気さえしますが、この時代だとお見合いで結婚させられそうですね。
こっそり抜けだした翠星石は、薔薇乙女に関する手がかりがここにあるはずだと、坊ちゃまの双眼鏡を覗き込みます。
ぴょんぴょん跳ねて壁をよじ登る姿はかわいい。黙ってちょこちょこ動いてると微笑ましいですね。ひとたび口が開けば毒矢が飛んできますけど。
糖蜜の井戸からごきげんよう
行方不明になった昇降機ガールであり菊の妹の華。
お国言葉を封印したらしどろもどろになった姉と違い、よほどでない限り都会の言葉を崩さずにいます。流石はモダンガール。
ま、その「よほど」に見舞われたんですけどね。
デタラメな夢なんだしいっそ楽しんでしまおうと早々に開き直る辺り結構な大物かもしれない。そこはかとなく「みっちゃん」的なものを感じる。
井戸の中は真っ暗な空間にティーカップやら椅子やら写真やらが浮かぶ不思議なところでした。
横断歩道と路面電車の描かれた道路は大正より後の時代の光景ですよね。過去も未来もゴチャゴチャになってるようで。それでも箱庭の光景が昔ながらのメルヘン世界なのは、やっぱお父様の趣味かな?
坊ちゃまが見つめていたのは眠りにつく真紅のパノラマ。タネがあるのは双眼鏡ではなく遥雲閣の方でしょう。でなけりゃ連日通う必要がない。自室で双眼鏡をかざしてればいいんですよ。
真紅がパノラマ通りの状態なら一応鞄で寝ているのかな。
暗闇に小さく浮かぶ華と、それを挟む翠星石の瞳とパノラマの真紅は迫力ありますね。シュルレアリスムの絵画のようで不安さえも湧き上がってくる。ここがカラーページだったらな、と願うくらい。
ここからの大コマラッシュは今月号の見どころだと思います。あっけにとられる翠星石、空から落ちてきた華にてんやわんやの人間たち。起きているのは突然の超現実だと訴えかけてきている。
先月の遥雲閣の見開きもそうですけど、ここぞの大コマがとりわけ印象的ですよね。
来月は休載なので続きは7月号ですね。6月19日は日曜日なんで1日早いのかしら。
ローゼンメイデン ツヴィリンゲ (ジャンプジェイブックスDIGITAL)