ランキング戦でもよく見る人気スペル「ドレインマジック」についての考察です。
まずはどんなスペルかおさらい
単体瞬間スペル レア度S コスト80G
使用者は対象敵セプターから、その魔力の30%を奪う
相手の所持魔力の30%を奪って自分のものにするというシンプルな効果です。1000Gを所有するセプターに撃てば300Gが奪取できます。使用コストを引くと220Gの利益になりますね。この単純明快な効果が如何にして有用なのか考えていきます。
確実に自分の利益になる妨害カードは強い
自分の魔力が増える
見ての通り、相手の魔力が267G以上であれば黒字になります。魔力を増やすゲームなので勿論ありがたい。
相手の魔力を減らせる
これも見ての通り。相手の勝利は当然阻止したい。
相手の魔力を減らしつつ自分の魔力を増やす……魔力を増やしてゴールするゲームにおいては理想的な行動と言えます。そしてドレインマジックの秀でているところは、これを直接かつほぼ確実に行えるところ。土地への侵略も確かに魔力奪取に相当しますが、相手に阻止されることも多いです。しかしドレインマジックは非常に防ぎにくく、直接の対抗策はスペルのバリアーやアンチマジック*1、クリーチャーのグラニットアイドルくらい。シャッターなどの手札破壊も、山札から引いた直後の使用*2には対応できません。
自分は勝利条件へと近づき、相手はそれから遠ざける。極めて高い成功率でそれを成せるのが強みのひとつです。
所持魔力を減らせることによる影響
相手の所持魔力に直接干渉するカードは多くなく、しかも現在値が大きいほど有効なカードとなればごく僅かになります*3。ではこの、魔力を大量に抱えているセプター(通称「現金輸送者」。この記事でも以降は使います)に効果バツグンなドレインマジックはどのような影響をもたらすのでしょう。
高額土地作成の抑止と遅延
連鎖した状態で土地のレベルを上げれば総魔力は増加し、それを踏ませれば多額の通行料が取得できます。自分としては狙いたい、逆に自分以外にはさせたくない。だったら魔力を奪ってしまえばよい、というわけです。
地価が100Gの場合、所持魔力が980Gあれば700G払ってレベルを1から4に上げても280G残ります。しかしこれが680Gだとレベル4までは上げられませんし、仮に700~750G持ってたとしてもギリギリのレベル上げはしたくないですよね。
つまり、所持魔力を減らしてしまえば敵のレベルアップを妨害し、拠点の作成を遅延させることができるというわけです。踏んでしまいたくないマスを減らすことにも、また危険度を下げることにもつながります。
先に言っておくと、これが一番重要です。魔力を奪うことで自分が奪われる事態を避ける。されたくないことを先にやってしまうことで自分が損害を被らないようにする。ドレインマジックだからできることです。吸った魔力をすぐに使ってしまえればより良いでしょう。
あえて土地のレベルを上げない戦術への牽制
レベルを上げた土地を奪われれば大きな損失となるばかりか相手を有利にしてしまう。それを回避するのが現金輸送戦法です。レベル1の土地を奪われても被害は比較的小さく、特にコーンフォークやマミーなら逆に儲かることもしばしば。総魔力の増加は遅れるものの、戦闘が多発したり全体ダメージスペルを抱えられていたりする状況であれば有効な手となりえます。逃げ切れそうなら終盤に一気にレベル5にしてもいい*4。
これを最も積極的に妨害できるのがドレインマジックです。なにせ所持魔力ばかりが多いわけですからね。むしろ溜めてくれてありがとうと言いたいくらい。アンチマジックやバリアーを使っているならば、他のスペルあるいはシャラザードやホーリーラマの能力で消してしまいましょう*5。
高額拠点を踏ませたプレイヤーへの対抗
レベル4や5の土地を踏ませたプレイヤーの懐には多額の魔力が転がり込みます。これを土地に注ぎ込めばさらなる魔力増加となり、目標には大きく近づくでしょう。地変で連鎖を増やすことも容易に可能です。有利な相手が更に有利になる……これはまずいですよね。
ここで活躍するのがドレインマジック。通行料を掠め取ってしまいましょう。自分の利益も相当なものが期待できます。漁夫の利は大正義。
なお自分が高額土地を踏んでしまったときのカウンターにもなります。せめて被害を軽減しましょう、勿論これが使えるだけの魔力がないと叶いません。
ただしいずれの場合も、吸う前に相手が魔力を使ってしまえば台無しですが……。誰かが他の誰かを勝たせてしまう事があるゆえにこのゲームは難しい。
高レベル土地の売却後を狙う
今作ではランドトランスによる土地ころがしが弱くなったので、大体は泣きっ面を攻める蜂になってしまいますが……。まあ、勝つためなら仕方ありませんよね! 恨みを買うことは覚悟しましょう。リアルマイトダガーが飛んでくるかも。
ただし誰かが勝利条件を満たしたらそこでゲーム終了なので、ダントツのプレイヤーがいるならばそちらへの妨害を優先したいところ。傷口に塩を塗れば勝てるときとそうでないときがあります。
テンペストあるいはカタストロフィブックへの対策
これら焼きブックの基本戦法は「規定ラウンドに近づいたらクリーチャーを全滅させて相手が土地に注いだ魔力を無駄にし、現金輸送の自分がトップに立つ」というものです。申し訳程度にオドラデクやジャッカロープを添えたりもします、敵の守ってた土地に。
焼きスペルはコストが高く、また使用者は現金輸送を続けます。お分かりでしょうか、ドレインマジックの的には最適なんですよ。自分の懐は潤う、相手の勝ちは遠ざかる、一石二鳥です。と、いうわけなので焼きブック使いは積極的にドレインマジックのリフォームを狙います(そしてリバイバルで自分だけ使えるようにもしてくる)。
マナなどの収入スペルを使わせにくくする
すぐに使わず手札に抱え続けておけば(見せ札にすれば)、マナやゴールドグース、そして同じドレインマジック の使用を躊躇させることも狙えます。なにせ、奪われる(敵に与える)魔力も増えるわけですから。そのまま手札から捨ててくれればしめたもの。ただし、見せ続けて捨てるよりは吸ったほうが良いと思います。
同程度の魔力を持つ2人が手札にドレインマジックを所持していると、後出ししたほうが基本的には有利です。ただし奪ってすぐに消費できる状態かつ高額を奪えるならば、手札から溢れる前に使ってしまいましょう。
応用編――魔力消費を急がせる
このスペルを見せ札にすると、吸収から逃れるために土地のレベルを慌てて上げるプレイヤーが出てきます。土地の属性を変える場合もありますね。
「おいおい、さっきレベル上げさせないのが強みだって言っただろ、吸えよ」とそう思う方もいることでしょう。確かにその通りですが……別に、その土地を奪ってしまっても構わないんですよ?
ブックに入れた全てのクリーチャーが防衛に適しているとも限らず、また投入アイテムにも限りがあります。「属性はあっているから吸われるよりはいいか」程度の理由でレベル2や3に上げられた土地の中には、奪いやすいものもあるはず。戦闘が多発していれば防衛アイテムを節約してくれるかもしれません。
焦ってレベルを上げたせいで所持魔力がわずかになり、カウンターシールドやパワーブレスレットが使えない……というチャンスもなくはないです。ランドドレインと組み合わせれば機会を生み出しやすくなります。
要するに、侵略向けのクリーチャーや妨害スペルを多く積んだブックであれば、ドレインマジックを見せ札にしてレベルを上げさせ、後で奪って台無しにする作戦も狙えるということです。二心やジャンクションのような戦闘の激化するマップ向けですね。
勿論そのまま逃げ切られないようにすること。あとレベル4や5まで上げさせるのはリスクが大きいです。カルドセプトはあくまで、お金である魔力を溜めるゲームということをお忘れなく。大きく儲けられるときは吸って自分の土地に投資しましょう。土地を守れなさそうなのでレベルアップをためらっているプレイヤーからは、終盤の投資からの逃げ切りを阻止するために吸っておきたい。
護符の売買とドレインマジック
聖堂のあるマップでは上記に加えてこのような効果もあります。
購入枚数を減らせる
護符を買うための魔力を減らすというシンプルなお話です。特に「まがたま」などの護符の買い込みが強いマップでは重要となってきます。
また、多くの護符を所有している相手に効果的なコラプションと板挟みにするのもありでしょう。どちらも結構コストのかかるスペルなので、これのせいで護符が買えない事態は避けたいですが。それと他のカードの捨てすぎにも注意です。
護符の売却の抑止
終盤に価格の上がった護符を売って得た魔力を投資して一気に総魔力を増やす……。これが聖堂マップでの基本戦術です。しかしドレインマジックがある場合、すぐに注ぎ込める状況以外で現金輸送状態になるのは利敵行為と隣合わせです。ドレインマジックは引き撃ちさえも警戒すべき。
ここまでのまとめ――敵の現金輸送の阻止は己の負け筋を減らすこと
「手持ち魔力に余裕を持たせないことで選択肢を狭め、そして勝ち筋を作らせない。一方で自分は勝利へと近づける」総合すると、これがドレインマジックの利点であり役割になります。またこのスペルによって、誰も土地のレベルを上げないダラダラした試合が起きにくくもなっています。環境づくりという点でも非常に重要なカードと言って間違いないでしょう。
まあ褒めてばかりだと視野が狭まりそうなので、デメリットや弱点も上げていきましょうか。
さすがに再序盤では使いにくい
1週目の所持魔力などたかが知れています。400Gでさえも珍しいでしょう。そんなときにドレインマジックを使っても、仲良く魔力を減らすだけに終わりやすい。このときばかりはドレインマジックの優先順位は低めです。
コストはやや高い
コストパフォーマンスはその他カードとは最早別格なのですが、コストはあまり安くありません。クリーチャーを置きまくっていたらドレインマジックを使うだけの魔力も無くなっていた……なんてことも。魔力を得る魔力がないのは結構マズイ状況です。特に終盤でこんなことにならないように。
収入スペルとしてみた場合、上記2点は0Gで使える「マナ」であれば解決します。
セフトで狙われやすく盗んだ相手に利益をもたらしやすい
これだけ強力なスペルであるため、セフトで盗られることもしばしばあります。そして困ったことに、捨てることも殆どありません。なにせシニリティやクイックサンドやティラニーと違って、使えばとりあえず利益になりますし。次のターンに即使う場合も少なくないでしょう。
セフトの使用率自体がマップによって変わってきますが*6、見せ札にする場合はちょっと意識した方がいいかもしれません。
で、結局何枚入れればいいの?
ブックとマップによります。上記の通りマナのほうが優れている面もありますし、ランドドレインというカードも存在します。妨害スペルでありながら確実に自分が利益を得られることもあり間違いなく強力なカードですが、4積みが正解とは限りません。というか必須カードとまではいきません。何を入れたらいいかわからなかったらとりあえず2枚ほど入れてみる、でもいいと思います。
とりあえず使ってみて、その後は自分の頭で考えたり他のカードを使ってみたりする、だと私は嬉しいです。
読んでくださった皆様ありがとうございます。