タッチ!カービィ[WiiUで遊べる ニンテンドーDSソフト] [オンラインコード]
ネタバレ注意です
10年前にDSで発売された「タッチ!カービィ」の続編です。外伝シリーズで直接の続編が発売されるのはこれが初めてになります。とは言ってもストーリー面で明確なつながりがあるわけではないので、プレイするにあたっては前作を知らなくても問題ありません。
「謎の敵『クレイシア』によってポップスターから色が奪われ、人々は動きを止めてしまう。逃げてきた『エリーヌ』のおかげで復活したカービィとワドルディは、色を取り戻すため『セブントピア』へと旅立つのであった」というのが今回のストーリーです。
基本システム・操作
今作では十字キーやスティックでカービィを操作するのではなく、タッチペンで突っついてダッシュしたり、虹のラインを引いて道を作ったりして動かすことになります。*1ダッシュ中に敵にぶつかると倒すことができ、またブロックなども破壊できます。詳しくは任天堂公式サイトをご覧下さい。
タッチ!カービィ スーパーレインボー : 虹のラインで世界を冒険!
前作と異なりコピー能力は存在せず、敵キャラをタッチしてしびれさせることはできなくなっています。一方で複数本の線を画面に置けるようになっているので、「虹のラインをいかに上手く使うか」にゲーム性が移り変わったと言えるでしょう。
タッチペンによる操作は少々難しく、ゲージが空になり空中であたふた……なんてこともしばしば。先に言っておきますが操作性自体は良好で、タッチしても反応しない、ペンの動き通りに線が引けない、なんてことはありません。カービィはラインに細かく、正確に反応してくれます。
……むしろ良すぎるくらいです。どういうことかというと、細かな凸凹やライン端のトメやハネにも忠実であるため、ラインを乱暴に引くと動きもそれ相応になってしまいます。時間がないからといって焦って線を引いてしまうと、ミスの原因を自分で作ることになります。今作における最大の敵は自分が引いた雑なラインと言っても過言ではありません。
ただしその分、思い通りにカービィを動かせると非常に気持ちがいいです。スターを連続で集めるとコンボボーナスが発生しスターを多めにもらえるのですが、これを大量に決めると爽快になれますね。トラップの間を華麗にくぐり抜けたり、ラインの上をつっつきダッシュで駆け抜けたり、敵を連続撃破したりと、様々なところでプレイ技術の上達を実感することができました。
グラフィック
今作のグラフィックはクレイアニメ風になっています。正式タイトルが発表される前は、「毛糸のカービィ」になぞらえて「粘土のカービィ」とファンから呼ばれていたこともありました。
そんな粘土の世界ですが、よく出来ています。元々カービィシリーズ自体が可愛らしいファンタジー風の世界観であるだけに、相性は抜群です。粘土細工によって表現された「いつものカービィ」らしい風景は、安心感と新鮮さの両方をもたらしてくれます。
また粘土で作られたカービィはやっぱり愛くるしい。大砲で吹っ飛ばされて壁や床にぶつかると「べちゃっ」とぺったんこになったり(ダメージはないのでご安心を)、体力が残り1メモリになると絆創膏が貼られてちょっと苦しそうな顔をしたり、バネでジャンプすると両手を上げながら笑ったり。後述する変身の際に、エリーヌに振り回されるのもカービィらしくていいですね。また、クレイシア戦の後に倒れるクレイシアに慌てて近づくエリーヌを見て心配そうな顔をしているのを見ると、やっぱり優しい子なんだなーと思います。
そういえばトリデラでデデデが目を覚ましたときはすっごく喜んでいましたね。とあるひみつノートのページにもある通り、デデデもメタナイトもかけがいのないお友達なんだろうなー。ED後にはエリーヌやクレイシアとも友達になったことでしょう。
ステージの難易度
特殊な操作のこともあり、本家カービィに比べるとかなり難しいです。体力も4メモリしかなく、デデデのamiiboを使って1日1ステージだけ6メモリに増やせるくらいです。
とはいえ序盤からいきなり高難易度のアクションを強いられるわけではないのでご安心を。例によって最初の方はチュートリアルを兼ねたステージ構成になっています。カービィの動かし方や線の引き方、スターダッシュの使い方やラインを使った防御のことまで学べるようになっています。どうすれば進めるのか分からずに困っても、一定時間が経つとお手本の点線が出たり何をすればいいのか教えてくれたりするので、それに従えば仕掛けの意味がわからずに詰まることはないでしょう。
ただし中盤からは難易度が上昇し、ミスも増えると思われます。1UPは結構落ちているのでゲームオーバーにはなりにくいです。最も、そのステージがまた最初からになるだけなのでペナルティ自体が軽いのですが。また同じステージで4回ミスすると、一旦飛ばして先に進むかどうかを選択できるようになります。私はメッセージは見たものの1回も使いませんでしたが、どうしてもキツいなら後でやり直せばいいと思います。本家よりずっと難しいゲームだし。
で、難易度に関してひとつツッコみたいことがありまして。それはちょうど折り返し地点にあたる4-1「天かける虹」が全ステージ中でも上位の難しさであること。一度触れると消える雲の足場ばかりでまともな地面がろくに存在せず、ステージ名通りに虹のラインで天空をかけていくことになります。ここで察しがついた人も多いでしょう、落ちまくるんですよね。
ただでさえゲージがギリギリなのに、ゴルドーやらビリバルブやらがいるのでダメージを受けずに進むのは難しいです。で、ぼやぼやしてるとそのまま奈落へ真っ逆さま。おまけにステージの大半が強制スクロールなんですよ。なのでゲージを回復できるインクボトルを取り逃すとそれはそれは大変なことに。クリアだけでも結構骨が折れたのですが、本当に辛かったのは宝箱の収集でした。これは後述します。
ただ前作のマッドメカニズムやスペクタクルスペースのような、他と比べてやたらと難しいステージはなく、少なくともメインモードをクリアするだけならば全体的な難易度は抑えられてマイルドになっていると思います。
ステージギミック
ステージギミックは多彩です。触れるとダメージをうけるレーザーやトゲといった単純なものも勿論ありますが、先に進むために利用するものが多いです。
上手いと思ったのが、パチンコ玉の仕掛け。なんら変哲のない銀色の玉ですが、実はカービィと同じように虹のラインで誘導することが出来ます。これを使ってスイッチなどの他の仕掛けを作動させるわけです。
「プレイヤーはカービィを直接操作するのではなく、あくまでタッチペンで引くラインで導くことになる。それだったらカービィやそのすぐ側にあるもの以外も操れていいよね」こういう発想から生まれたのでしょうか。
他には7-2「カービィとカービィ」限定の、2人に分裂するカービィもお気に入りです。前述のパチンコ玉と同じく両方を操ることになるわけですが、更に能動的な介入が出来ます。片方をラインに乗せて自動で動かし、その間にもう一方で敵やブロックに体当りしたり、スイッチを押したりする。そして今度は先ほどラインに乗せていたほうで仕掛けを……という風に、楽しい忙しさを味わえました。
特定の箇所には近づくと出現する隠されたスターがあり、それを見つけるのも楽しいです。これらはハートやスペードの形をしていたり、北斗七星やオリオン座を描いていたり*2、流星群のように降り注いだりと、個性的です。
とりわけ笑ったのが、間欠泉が吹き出たあとにスターが♨*3の通りに並べられたところ。ご丁寧なことに、全て取り終えると回復アイテムの牛乳が出現するという……。おまけにそれがあるのは火山地帯。なんだこの芸の細かさは。
ただボリュームがあるだけに、1ステージが長めです。金メダル取得のために再挑戦するときにもちょっと足を引っ張るのですが、それ以上に後述の難点と強く関係してきます。
ボス
前作ではミニゲームがボス代わりでしたが、今回は普通のボス戦になります。攻撃を回避しダッシュで体当たりして反撃、そうしつつもポイントスターを集めスターダッシュで大ダメージを狙う、というのが基本的な流れです。
ボスによってはスターダッシュでぶつかったときに連打で体力を大きく削ることができます。回避に専念していた時間が長い分、スカッとするものがありますね。恐ろしく強いボスはいませんが、逆に弱すぎるやつもいません。ただレベル2のバウンドグーンは少々レベル不相応な強敵かも。異質な操作ながらも2Dアクションのボスらしい攻略の楽しさがありよく出来ています。
レベル4~6のボスが1~3のマイナーチェンジなのは残念なところ。戦闘フィールドが変わっていたり、攻撃が強化されていたり、スターダッシュでしかダメージが与えられなかったりと、結構変化してはいるのですが、やはり見た目が殆ど同じのは新鮮さに欠けますねえ。
レベル6で暑そうにしているスキッドランスが可愛かったです。
変身
特定のステージでは、エリーヌの力でカービィがタンク・サブマリン・ロケットに変身します。基本操作に関しては、公式サイトをご参照下さい。
なお、タンクとサブマリンに初変身するステージでは直後にチュートリアルが用意されているため、基本操作もわからぬままいきなり放り出されることはありません。*4ロケットにはそれがないものの、最初のエリアはかなり簡単になっており、やはり基礎を学べるようになっています。
タンクは画面をタッチして敵を倒すのがシンプルながらに楽しかったですね。ただしダッシュが遅く、移動には少々手間取りました。
サブマリンはラインで魚雷を誘導するのが面白かったです。連続でヒットさせるのが快感になります。大型魚雷でまとめて壊すのもいい。3つの中で一番好きです。
ロケットの操作には手こずりました。特にダッシュ中には制御に一苦労。とはいえ狙い通りにスルスルと道を抜けられると気分が良いですね。
で、カービィが変身するときに一瞬だけリック・カイン・クーの姿になるんですよ。昔からのファンなので、これは嬉しかった。さりげないところにもファンサービスを仕込むハル研に感謝です。
チャレンジモード
メインモードの他に、制限時間15秒のミニステージに次々挑戦していくチャレンジモードが遊べます。金メダルやステージ中の宝箱を一定数集めるなどで新しいステージが解放されていきます。
15秒の間に部屋にある宝箱を入手すればクリアとなり、1分間チャレンジでは4部屋、サバイバルチャレンジでは12部屋一気にプレイします。前者では失敗しても次にはいけますが、後者は失敗すると即ゲームオーバーです。
そしてこのサバイバルチャレンジが非常に難しい。条件の厳しさもさることながら、部屋のひとつひとつにも高い難易度のものが少なくありません。特にチャレンジ40はラインの引けないエリアで複数のカービィを操作するものが多く、苦汁を舐めることとなりました。あそこまでエグくするだなんて……。
お題にはスターダッシュが求められるものもあり、部屋にあるポイントスターを集めることとなるのですが、100個入手からダッシュ可まで1秒近く待たされるんですよね。制限時間はたったの15秒。たかが1秒が命取りとなります。この時間差込みで調整されているとはいえ、かなりギリギリです。
敵を全滅させるなどの条件を満たすと宝箱が出現するステージも多数あるのですが、これにもやはり1秒近くかかります。本当に時間ギリギリまで費やさないとクリアできないようなステージはごく少数なのは救いです。
しかも金メダルを取得するには、一度の挑戦で宝箱を全て手に入れねばなりません。そして100%クリアの条件はメインモードとチャレンジモード両方の金メダルをコンプリートすること。このためには宝箱などのコンプリートのみならず、レベル1~7のボスをノーダメージで倒す必要があります*5。
救世主ワドルディ降臨
……はっきり言って100%クリアはすごくきつかったのですが、抜け道がありました。それはワドルディを使うこと。カービィと違いワドルディはいつも通り十字キーとボタンで操作するため、最高スピードこそ劣るものの扱いやすいです。スピアによる攻撃で敵を倒すこともできます。スターを集めたり、宝箱の出現位置に先回りさせてギリギリアウトを防いだり、カービィをラインに乗せている間にこっちを動かしたり、触れたら即死のデスドクロンをおびき寄せたり、と大活躍。もうこいつが主役でいいんじゃないかな。
私は一人二役をこなしましたが、手伝ってくれる人がいるならおそらくその方が楽です。そしてワドルディは3人まで参加できるので、こうすればサバイバルチャレンジも流石に簡単になると思われます。
おそらくこのシステムは、パーティゲームとして楽しんでもらうためだけでなく、このような救済措置として生み出されたのだと推測します。要は「難しかったら家族やお友達に協力してもらおうね」ということです。カービィって小さい子どももたくさん遊ぶゲームですからね。DS版にはこの手のものはなかったので、なるほど据え置き機を活かしたなと。ワドルディは体力こそ少ないものの簡単に復活できるので、全くのゲーム初心者でも足手まといになりにくいのもポイントです。
コレクション
上述したように今作ではステージ中に宝箱が隠されており、そこからCDやフィギュアを手に入れることができます。CDには歴代のアレンジBGMが収録されており、フィギュアは今作のキャラクターのグラフィックを用いたもの(+α)です。BGMに関しては後述すると致しまして、まずはフィギュアから。
フィギュアの出来はかなり良いです。カメラを回転させて様々な方向から眺められます。ところどころに指の跡らしきものが見受けられ、手作り感にあふれていますね。説明文は毒があったりシュールだったりするものが多いです。「もう出番がないかも!」
なお、ボスキャラのフィギュアはそのボスを倒すと入手できます。余計な手間がかからずに済んで良かったです。
またゴールゲームのルーレットでは、エリーヌの描いたひみつノートのページを1ステージにつきひとつ手に入れることができます。内容はほのぼのしてたり、シュールだったり、懐かしいキャラが描かれているページもあります。特に18ページはなんというかすごすぎる。ご自身の目で確かめていただきたいです。
だいぶ面倒な再挑戦
これらを集めていくうちに、今作の短所に気が付きました。それは総じてリトライ関係が不便なこと。まず前述のとおり1ステージが長めなので、宝箱のありそうな場所まで進むのがやや手間です。そして一部の宝箱は15秒間のチャレンジステージにあるのですが、これは一度挑戦すると扉が消えてしまい、ステージを出るかミスするかしないと再挑戦できません。わざとミスできるところならともかく、それも叶わないとなればまたステージを最初からやり直さなければならない。おそらく中のスターを集めることで無限に稼げるのを阻止したのだと思うのですが……失敗したらスターは没収で追い出されるだけじゃダメだったのかなあ。
そしてその扉以外にも面倒な宝箱があります。顕著なのは4-1の3つ目と、7-3の4つ目。前者は大砲から飛び出して宝箱を入手するのですが、チャンスは一度きりでしかも即座に次のマップに移ってしまう。後者はスターダッシュで画面上部の隠し部屋に行くのですが、そのマップが難しく、しかもスターダッシュを使い切った後に故意にミスすることもできません。「天かける虹」の本当の恐ろしさは、ステージではなく宝箱の入手難易度にありました。
またひみつノートはゴールゲームで入手するため、失敗したらそのステージを最初からやり直す羽目になります。それでもって今回は1ステージが長いので……。全部集めないと真のラスボスと戦えない、なんてこともないので、普通にステージをクリアするだけで手に入ってよかったんじゃないかと思いますね。ワドルディを使うと楽になると気がついたのはコンプリート後でした。
あとはチャレンジモードでポーズ画面からリトライできないのもマイナスです。15秒ギリギリまで粘るんで実際に不便を感じたことはあまりありませんでしたが。
今回も秀逸なBGM
カービィシリーズのお楽しみのひとつであるBGM。今回も期待を裏切らない出来でした。
新規曲アレンジ曲共に良曲揃いです。少しですが、アニメカービィのBGMが入っているのも嬉しかったですね。
ゲーム中のCDに収録されているBGMの感想はこちらからどうぞ。やや夢の泉とスパデラに偏っているものの、いつもの曲から最近の人気曲、マイナーな部類の曲まで選ばれていて、良質な選択だと思います。メジャーどころだけじゃないというのが、実にツボを抑えているなあと。
それ以外のBGMだと「洞窟をぬけて」「古代の遺跡」「しゃくねつの戦い!」「進め!カービィサブマリン」「ひとりで勝負をしかけたな」「大空を 炎にそめて」「飛べ!カービィロケット」「森林の戦い」「潜入!ガラクタ工場」「カービィとカービィ」「ダーククラフターとの戦い」「スタッフロール」がお気に入りですね。とりわけ「天かける虹」は傑作です。ステージには散々苦しめられたけど!
私の中では「天かける虹」は第2の「こうじょうけんがく」になっています。 *6
キャラやストーリーについて
ドクロンと関係しているであろうデスドクロンが登場したり、ラスボスが新たなダークマター一族らしかったりと、どこか過去作を匂わせていたのが嬉しかったです。後はブレドーやゴプレスといったマイナーキャラが再登場していたりとか。
デデデ大王とメタナイトは直接出てきませんでしたが、OPの時点でポップスターごと停止してしまったので仕方ないですね。でもフィギュアにはとりわけ気合が入っていました。で、なんでコックカワサキが2人と肩を並べているんだろう……? アニメや漫画で出番が多く、知名度が高いのでそれが理由かな。
今回のストーリーは「クレイシアに取り憑いていた黒幕を倒してめでたしめでたし」といった、64以前のカービィによくあるシンプルなものです。トリデラのこともありちょっとだけ期待はずれでしたが、まああっちが異質なだけですね。2連続で報われなさを覚えるのもそれはそれでうーん、なので。クレイシアとドロシアペインシア姉妹との関係やいかに。
その他
1人プレイではテレビがほぼ不要なのは少々寂しくありますね。テレビ画面を見ながら操作する暇などないので。クレイアニメ風のグラフィックはほのぼのしていて素敵なだけに残念。せめてリプレイ機能があれば。
100%クリアすると前作のラスボス「ドロシア」のフィギュアが入手できます。可愛い。苦労した甲斐がありました。クレイシアとの関係は不明ですか、そうですか。ウィスピーウッズとウィスピーフラワーズと同じですか。もうちょっとヒントがほしいところです。(ネタバレ注意、反転してご覧になって下さい)
終わりに
不満点も結構出ちゃいましたけど、総合的にはとても楽しめました。タッチペン操作で得られる快感はいいものですね。あとはやっぱりBGM。難易度が高いこともあり、税抜き3700円という価格の割にはギッシリ詰まっているゲームでした。
最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
※当記事に掲載された画像は任天堂の「Wii U画像投稿ツール」によってアップロードされたゲームプレイ中のスクリーンショットです。
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