クレセント クローゼット

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カービィの「トモダチ」のマホロアってどんなやつ?

 本日はエイプリルフールということで、虚言の魔術師についての記事です。初登場作品「星のカービィWii」を中心にマホロアの言動や謀りを振り返りつつ、人物像を掘り下げていきます。

星のカービィ Wii[オンラインコード]

星のカービィ Wii[オンラインコード]

 

 

 

初登場にして代表作「星のカービィWii」

ローア船内の会話

 彼の乗る「天かける船ローア」がポップスターに墜落してくるところから「星のカービィWii」は始まります。飛び散ったパーツを集めてローアを修理することが今作の当初の目標です。

 

 船内に居るマホロアに話しかけると様々なセリフを聞けるのですが、ここで注目したいことがふたつあります。ひとつはパーツを集めるごとに感謝の言葉が大げさになっていくこと、もうひとつはそれと比例するように態度が厚かましくなっていくことです。

 

 まずは前者の例を挙げてみましょう。下にいくにつれ、ゲームが進行したときのものとなります。

 

「しんせつなキミにであえテ ホーント、よかったヨォ。」

「キミみたいなトモダチが できテ、ボクってホ~ントシアワセものだナァ。」
「キミみたいなおひとよ…イヤイヤ、シンセツな人が いるナンテネ。カービィには ホーント、カンシャするヨォ。」
「ながいたびになったケド、コノ星にこられて キミにもであえて…ナンダカンダでたのしいおもいでに なりそうダヨ。ホント~に、 カンシャのきもちでいっぱいダヨォ!」
「コノ星にくるコトができテ、しんせつなキミともトモダチになれテ…おもえばホントーに、ウンメイをかんじちゃうナァ。コノであいはきっと、カミさまからのおくりものだヨ!」 
「ウゥ…コノトキをどれダケまちのぞんだコトカ…キミにはホントに ホント~に、カンシャするヨォ!」
「120コ ゼンブあつめてくれるナンテ、すごいヨ、カービィ!キミにはホントにホント~にカンシャするヨォ。アリガトウ!」
「キミってとっても、ユーメージンなんダヨ。そんなキミにであえて、ボク、とってもコウエイだヨォ。あとでサインでも もらっちゃおうカナ?」
                           星のカービィWiiより

 「本当に良かった」「本当に幸せもの」「本当に感謝の気持でいっぱい」「本当に運命を感じる」「この出会いはきっと神様からの贈り物」

 

 ……彼の魂胆を知ってからだと、露骨に媚を売っているようにしか見えません。何度も何度も発せられた言葉は次第にその価値が低くなる、ということを思わせます。「本当」の大安売りです。というか「お人好し」って言いかけてるし。

 

 続いて後者です。これまたゲーム内の台詞を挙げていきます。

 「ボクは船をシュウリしなガラ ココでまってるカラ、カービィはパーツを あつめてキテネ!」

「ホントありがトウ!コノチョウシでひきつづきパーツあつめヲ ヨロシクネ!」

「のこりパーツはあと3つ。ボクのタメにガンバッテネ!」

「ヤツ*1がうばいさったスフィアもゼーンブとりもどシテネ、 カービィ!」

「こんどはあのドラゴンを やっつけちゃっテヨ!」

「ハルカンドラのタメにも ボクのタメにも、はやくアイツ*2をやっつけテネ!」

「コノさきもっとケワシイ みちのりになるケド、キミならきっとダイジョウブ!はやくアイツを コッテンパンのボッコボコにやっつけちゃっテネ!」

「オネガイ、カービィ。ボクのかわりにヤツを やっつけテネ!キミならきっとやれるヨ、 しんじてるからネ!」

 依頼をしている立場のくせして「ボクのために」とわざわざ口にだすわ、「やっつけちゃって」と軽く扱うわ、どんどん図々しくなっていきます。エクストラモードだとより顕著です。

 

「やっぱりアイツはジャマものダヨ。ハヤクやっつけちゃおうネ、星のカービィ!」

 プレイヤーは後の展開を知っているためか、ランディアを堂々と邪魔者呼ばわりしています。古典的なRPGで王様は「勇者よ、邪魔な魔王を倒してきてくれ!」なんて言うでしょうか、言いませんよね。

 

 極めつけはエクストラモードで8回話しかけたときの台詞です。

「カービィ~、はやくボウケンに いってヨォ。ソウじゃなきゃキミにタスケテ もらってるイミがないジャン!だからサッサとボクをタスケてネ!星のカービィ!」

「カービィ、こうミエテモ ボク、けっこういそがしいんダヨォ。イロンナ星にいって、ヤラなきゃ いけないコトがタクサンあるンダ。だからキミも、ボヤボヤしないで サッサとボウケンに いってよネ!」

 いやー、もう一週回って笑いが止まりませんね。「お前に助けてもらってる意味が無いからサッサとしろ」「こっちも忙しいんだからボヤボヤしないで早く冒険にいけ」(意訳)こんなことを言われても怒らないカービィはのんきで悩みのないお人好しだと言わざるをえない。

 

 とまあこんな感じでボロが出まくっているわけですが、ランディア戦後に「ブラボー、ブラボー」と拍手しながらお出ましになる辺り、本人はまるで気がついていないのでしょう。

 

ゼンブ教えてヤルヨ

 さて、そんなマホロアの真の目的はランディアの守る「マスタークラウン」を手に入れることです。

 彼はOP以前にランディアに挑んでおり、敗北してポップスターに流れ着きました。そしてカービィたちと出会い、彼らにランディアを倒させようと目論んだ、というわけです。

 本当に感謝するだの出会えて嬉しいだのこれからも友達でいようねだの連呼していたのは、このためのご機嫌取りでしょう。

 

 ちなみにマホロアEXのスペシャルページによると、ローアさえもデンジャラスディナーから盗み出したものであるそうです。

 この船と共ににポップスターに遭難してきたこと、そしてローアの各パーツは武器にもなることを踏まえると、ローアを操縦してランディアと戦ったと考えて間違いありません。

 

 計画通りにマスタークラウンを手に入れたマホロアは全宇宙の支配者になると宣言し「ポップスターから支配してアゲルヨォ!」と、わざわざカービィ一行を挑発します。ローア船内でも散々ボロが出ていたことを考慮すると、悪知恵がはたらく一方で調子に乗りやすいところがあるようです。

 

 全くの自業自得で返り討ちにされて遭難しておきながら可哀想な被害者面をしているだけでも相当図太いのですが、それに加えて星の神聖なる守り神を悪いドラゴンと偽ってカービィたちの正義感を煽っているのだから面の皮がえらく分厚く、何より狡猾です。

 

 ここまでのまとめといきましょう。

「図々しい利己主義者だが、愛想よく振る舞うのは得意。何も知らない相手に嘘を吹き込み煽動するような悪賢さを持つ一方で調子に乗りやすく、本音が漏れていることに気がつかないこともしばしばある」

 

 以上のことから推定されるマホロアの性格はこのようになります。随分と小悪党全開になってしまいましたが……。

 

 とまあ、ここでゲス野郎と認定して終わらせるのはもったいないので、もう少し掘り下げていきましょう。

 

「トモダチ」はウソ? ホント?

 マホロアと会話していると度々出てくる言葉「トモダチ」。レベル2に辿り着いた頃からすでにカービィを自分のトモダチだと認定しています。

 手伝わせている相手を早々に友人扱いするのは正直言って馴れ馴れしいです。少なくともこの時点では露骨な媚売りに他ならないでしょう。

 そして彼こそが星のカービィWiiの黒幕であるため、今作においてはこの「トモダチ」はおだてるための方便でしかないと思われます。案外そうでもなかったらしい。「トモダチ」何を指すかは別として。詳しくは別記事*3参照。

 ここで目を向けたいのが、2012年に発売された「星のカービィ 20周年スペシャルコレクション」と2014年の「デデデ大王のデデデでデンZ」です。

 これら2作品にはマホロアがゲスト出演しており、前者の「もっとチャレンジステージ」は彼が作り上げたチョーたのしいテーマパークという設定です。

 後者に関してもMiiverseの投稿*4でマホロア作のアトラクションであると判明しました。

 

Miiverse - イシダ's post | Nintendo

 そしてここで「Wiiの頃から彼はテーマパークやアトラクションを作るのが得意だった」と明かされ、「Wiiの後で異空間の出口からひょっこり脱出できたのかもしれない」と示唆されています。

 以降はこれに基づき「これら2作はWiiの後日談でマホロアは生存している」という前提で話を進めていきます。

 

 もっとチャレンジステージのEDの終盤で、ローアがマホロアのことを迎えに来ています。そもそもOP(というか初回プレイ時のイントロダクション)ではマホロアがローア船内にいますしね。

 

 ローアが故障していないならば、帰ろうと思えば彼の故郷*5に帰れるんですよ。

 にも関わらずポップスターに在留してテーマパークを作り上げてカービィを招き入れています。そう、かつて野望を阻止したカービィ本人をです。

 

 そして「デデデ大王のデデデでデンZ」*6では、カービィの仲間*7でありWiiではプレイヤーキャラの1人だったデデデ大王もアトラクションに招待しています。

 

 まあ確かにもっチャレの「VS.マホロア」ではカービィがダメージを受けたり競争に負けたりするとマホロアは笑いますし、デデデでデンZでもうらエクストラでニヤニヤしながら目隠しフラッグをもって出てきたりはしますが、憎たらしい相手を自作の遊園地に招待するでしょうか? 手の込んだ嫌がらせにしてはどのステージも楽しめるようにできていますよね。*8

 

 なので、最早この時点ではカービィたちを友人、最低でも自慢のテーマパークの客人と見做しているのだと思います。

 ちなみに海外版だと「Wiiの事件のお詫び」としてもっとチャレンジステージを作成したと本人の口から語られたようです。

 

 いささか悪辣だったり遠慮のないところがあったりするにせよ、宇宙の支配を望むようなドス黒い野心を抱いていたりはしないのでしょう。

 性格が「良い」か「悪い」かで言えば「悪い」に分類されるし、小悪党じみたゲスいところは残っていそうですが、根っからの性悪とまではいかないでしょう。

 

 それと、Wiiにおける彼の愛想の良い猫かぶりの態度は、アトラクションのセールストークで磨き上げたテクニックなのかもしれませんね。いやまあ、私利私欲が見事ににじみ出てしまってしまっていますけれども。

 

 Wiiの頃に散々口にしていた「トモダチ」は、結果として「嘘から出た真」になったというのが結論です。

 いや、カービィやデデデ大王がマホロアをどう認識しているかは分かりませんけどね? でも初代ラスボスがいまやかけがえのない親友でありライバルになっているのだから、彼もきっと友達の1人なんだろうなあと思います。

 

 底知れないお人好しだけどとっても強いカービィに、憎悪と執念に満ちたマホロアは二重の意味で負けたのでしょうね。Wiiのような悪行はもうしなさそうです。

 

 まあでも、「カービィのトモダチであること」を自分とその作品を売込むためのネタにはしているんだろうなー……。「ボクはマホロア。あの星のカービィのトモダチで、イロイロなアトラクションをつくっているんダ!」みたいな。

 

余談 Wiiのローア船内のチャレンジステージについて

 上述のMiiverseから、Wiiのチャレンジステージやサブゲームもマホロア作のものだと推定できるのですが*9、なぜ彼はあれを作ったのでしょうか。そしていつ作ったのでしょう。

 

 ゲーム開始時点から存在は確認できるので、カービィたちのご機嫌取りに作ったとは考えにくいです。

 そしてMiiverseによると、「あちこちの世界で攻略しがいのあるユニークなアトラクションを作っていたかもしれない」そうなので、単に趣味で作っていたのだと予想します。

 

 制作した時期についてですが、これに関しては「そもそもいつローアを手に入れたのか。ランディアと戦う直前なのか、それ以前からなのか」から考えたほうが良さそうです。これだけで記事にできそうなので、今回は保留ということで。

 

サイゴまでヨンデくれテ、ホントーにカンシャするヨォ」

 

 

2015年10月29日 追記

 公式Miiverseの情報を踏まえた考察記事です。結論からいうとアイツは本当にカービィの「トモダチ」になりたがっていたヨ。でも彼は「トモダチ」をどんな人だと思っているんだろうネ?

tsukimajiro.hatenablog.com

tsukimajiro.hatenablog.com

 

星のカービィ マホロアぬいぐるみ(S) 高さ18cm KP15

星のカービィ 大迷宮のトモダチを救え!の巻 (角川つばさ文庫)

*1:スフィアローパー

*2:ランディアのこと。下も同様。

*3:

http://tsukimajiro.hatenablog.com/entry/2015/10/29/%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%81%AB%E3%81%A8%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%80%8C%E3%83%88%E3%83%A2%E3%83%80%E3%83%81%E3%80%8D%E3%81%A3%E3%81%A6%EF%BC%9F

*4:通称「熊崎ダイレクト」

*5:Wiiではマスタークラウンを手に入れるためにハルカンドラに来ていたので、ここが本当に故郷かは怪しいところ

*6:トリプルデラックスの「大王のデデデでデン」も彼の製作物でしょう

*7:本人に尋ねたら「アイツと俺様はライバルだ」と答えそうですけども

*8:「ゲームだから」と言ったらそれまでですけど

*9:アトラクションではないコピー能力部屋は少々怪しい