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「ローゼンメイデン0―ゼロ―」第5階(ウルトラジャンプ2016年8月号)感想 夢は止まらない

 今週はセンターカラーです。電子書籍版も既に発売されています。

ウルトラジャンプ 2016年8月号 (未分類)

ウルトラジャンプ 2016年8月号 (未分類)

 

 

 表紙は3階の翠星石と対をなすような、大正ロマン風の蒼星石。どうやらこの2人がドール側の主人公らしい。

第4ドール「蒼星石」の目覚め

 華が住んでいるのは帝都のとある貧乏長屋。十二階のお膝元なんて言ったって、華々しいばかりではありません。ちょいと裏に入れば見世物小屋だの私娼窟だの、影の商売が目に入ってきます。

 都会への憧れもあった彼女には幻滅ものだったでしょう。それでも「立派な職業婦人になってお里のみんなを見返してやる」と決意する辺りは強いというか、なんだかんだで過去に囚われているというか。

 十二階のエレベーターからこっそり持ち帰った鞄を開けると、そこにいたのは小さいころに夢見た異国の王子様……。

 

 第4ドール「蒼星石」翠星石の双子の妹にして、鋏を用いる夢の庭師です。

 

 これには思わず華もうっとり。こんな顔、姉ちゃんの前ではもう見せらんねえ。

 ちょっと預かっただけなんだからと言い聞かせたくせして、勝手にネジを巻いてしまうのはモダンガールとしてどうなんですかね。

 そういや、とある屋敷の鈍くさい使用人も似たようなことをしていたような……?

 

 蒼星石はとても真面目でマスター思い。しかし少し融通が効かず、ルール至上主義とでも言える側面もあります。今回の「眠りから覚ませてくれた人のドールになると決めている」発言もその一端でしょうか。

 それでもあくまで当人の意思を尊重するのは、流石は夢の庭師ですかね。マスターがそうしろというなら何も離さないし結菱も追い出すと、決定権は華に委ねています。

 ただ桜田ジュンの時代の悲劇も考えると……彼女の場合、「自分」に乏しいんだろうなあ……。「僕はこうしたい」がイマイチ薄く、行動の基準が他人に偏りがち。「マスターがそう言うなら」的な。

 華に指輪が現れたときの浮かない表情は「これで翠星石と戦わなくちゃいけない」とでも言いたげです。そういえば、この時代では別々のところに現れたんですよね。

 

 指輪へのキスは主従の証としての義務的な振る舞いであって、決して脱田舎を目指す見習いモガを落とそうとしているわけではないですよ、ね。

 でも男装の麗人が似合いすぎるのをいいことに王子様ごっこを楽しむ蒼星石は見てみたいかも。

 

結菱坊ちゃまのご執心

「話は聞かせてもらったぞ! 人類は滅亡する!」

 ……とばかりに華の家にいきなり押し入る坊ちゃま、流石に一線超えてませんか。翠星石に思いっきり罵られても擁護できませんよ。大事な妹も関わってるし。

 しかも謝罪もなくマスターには僕を選んでくれと蒼星石に懇願する始末。華のごもっともな文句も右から左に筒抜けです。

 真夜中の十二階の展望台から夜景を見渡して夜景の美しさを(「暮らす方は掃き溜め」と毒づく華をよそに)宝石箱になぞらえるも、「だから僕はここで真紅と繋がれたのかも……」と、結局は薔薇乙女のことに強引につなげてしまう。

 

 蒼星石の瞳が養豚場のブタでも見るかのように冷たいのは気のせいでしょうか。まるで「かわいそうだけど明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命だね」って感じの。

 いやあ、今週の坊ちゃまは前にも増してキレッキレですねえ……。いばらのムチでおしりをペンペンしても逆効果だなこりゃ。

 

ぎゅーしていいですよ?

 一方でとある使用人ことと、彼女に螺子を巻かれた翠星石はどうしているのか。

 翠星石が目覚めてよかったよかった。でも華に恥ずかしいからやめれと言われたのでぎゅーはおあずけ。翠星石相手なら遠慮はいらんですよ。この純朴さっつーか愚直さが菊の鈍くささ。

 安堵で泣きじゃくる菊を見て、翠星石の方から「ぎゅー」を促しているんですよね。ここの翠星石の表情がとても優しく柔らかい。それでも躊躇する華には「気持ち悪い」とちゃっかり毒を吐いてますけど。

 

 そして夢のおかげでとても大切な妹を……蒼星石のことを思い出します。あの子もどこかで目覚めを待っているはず、と。

 この後は探しに出かけるんでしょうが……タッチの差で目覚めて契約もしちゃったんだよなー。

 華と翠星石は互いに認め合い、2人の間には契約が結ばれました。このタイミングだといい話だなとはどうも言えない……。なにせ、妹と離れ離れですもの。

 

伸びゆく「ゼロ」の夢

 翠星石と蒼星石の口から、別々の場所で「ローゼンメイデン」の生い立ちについて語られます。見開きページはセリフと小コマを抜いた状態でカラー版を見てみたい。

 まだ第7ドール雪華綺晶は製作中なので、現在の薔薇乙女は6姉妹のようです。でも他にももう1人います。

 

 水銀燈より先に作られた、最も完成品に近づいた試作品の「第ゼロドール」が。

 

 翠星石は彼女の夢を見たらしく、なんと悲しいことに瞳を開く前に顔を砕かれてしまったようです。つまり、命は与えられたんですよね。その時点での最高傑作だったのでしょう。

 それでも至高の乙女候補にはふさわしくないと判断され、より美しい物を目指す創造の犠牲となってしまいました。

 「選ばれなかった姉妹があまりに不憫」と言う華は、ゼロの境遇を己と重ねてしまったのでしょう。何か察したように微笑を浮かべる蒼星石もどこか切ない。

 

 そんな悲しきゼロの存在の名残がまだ夢として残っているらしく、主を失ってなお蔓は伸び続けています。

 そしてこのままだと……第ゼロドールの夢のフィールドばかりか、現実世界まで覆い尽くしてしまうようです。既にこの十二階を起点に、現実とゼロの夢はつながってしまいました。

 このままでは街は蔓に絡め取られて、崩壊してしまいます。更に、その予兆が起き始めている……。

 

 前回の感想で「ローゼンメイデンは世界を救う話ではない」とは書いたんですが、このシリーズだとそうも言ってられないようです。ひとつの街を滅ぼしかねんほどの、怨念とも呼べる生への憧れ……恐ろしく、そして物悲しい。

 そういえば、トロイメントでは槐も失敗作の人形を叩き割っていましたね。確かに人形というか芸術品を作る上では正しいというか、責められるような行為ではないんですが、命を与えた後となると……。

 

 どうもゼロの名残は、夢を通して自分の存在を訴えかけているようにも思えるんですよね。私を忘却の彼方に追いやらないで欲しい、と。

 翠星石の手に現れたひび割れは、砕かれた苦しみを共有させようとするゼロの意思に思えて仕方ありません。偶然にしてはタイミングが良すぎる。

 コントロールの効かない無意識の蔓を止めるには、「彼女」を目覚めさせるしかありません。さてそれが真紅なのか、それともゼロ本人なのか……。

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