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漫画「左門くんはサモナー」第1巻感想 「ひねくれ者」と「天使」による毒舌デュエット

第1話は無料で試し読み可能。電子版も販売中。

左門くんはサモナー 1 (ジャンプコミックス)

左門くんはサモナー 2 (ジャンプコミックス)

左門くんはサモナー 3 (ジャンプコミックス)

 

 「週刊少年ジャンプ」で2015年9月より好評連載中の漫画です。作者は「沼駿」先生。

 現在ではセンターカラーを飾るほどの人気となり、公式ツイッターアカウントも開設されました。

www.shonenjump.com

twitter.com

 「ドS(?)の召喚士『左門召介(さもんしょうすけ)』は超良い人の『天使ヶ原桜(てしがわらさくら)』が大嫌い。彼女の素直な『欲』を目の当たりにすべく、名だたる悪魔をこき使うのだが……。」といった感じのコメディ漫画です。

 

 1月の第1週に第1巻が刊行されたので探しまわったのですが、どこにも置いていない。ネット通販でも品切れ。1月半ば以降に重版がかかった(公式ツイッターより)ので売り切れまくっていたらしい。で、電子書籍版があったのでそちらを購入。

 

 

マジで「天使」な天使ヶ原さん

 左門くんが本気で嫌う天使ヶ原さん(通称てっしー)がどのような人物かというと……どんな相手にも慈悲の手を差し伸べる、非常に大きな愛の持ち主です。

  • バスで嘔吐した彼のそれを咄嗟に素手でキャッチ
  • 友達の魂を救うため悪魔を追いかける
  • 悪魔の力で金儲けを企てて食い過ぎ死しそうになったクズ*1を抱えてダッシュ
  • 上述の九頭龍くんを助けるよう左門くんに懇願
  • そもそも悪党の左門くんに慈愛を捧げている

 などなど。態度も基本的には物腰柔らかでおしとやか。

 そんなわけで彼女を慕うものも多く、吐瀉物をキャッチされた下呂くん率いる「天使ヶ原ファンクラブ」が(勝手に)設立され、悪魔たちからも温情を注がれ、中でも地獄のNo.8のネビロスは左門くんに決闘を申し込んで彼女を救い出そうとしているほど(てっしー曰く「この人が主人公やればいいのに」)。

 

 しかしながらただただ大人しいだけでは断じてないのが天使ヶ原さんの魅力。主にツッコミの時には言葉遣いが乱暴になるのがポイント。

「仏じゃねぇわ」

「悪魔のおかわり用意してるじゃねぇかあの野郎~!!」

「本音?『ごちゃごちゃうるせえ』だよ」

                                                                   コミックス第1巻より台詞の一例

 コミックス中のプロフィールにも「時に荒々しい人物として描いています」と記載があります。天使は力が強いものが多いので、一般的なイメージである「天使に愛された聖母」という「天使のような人」からは外しているとのこと。

 台詞だけでなくバラエティ豊かな表情も魅力的ですね。あの笑顔は悪魔も惚れるわ。いわゆる「顔芸」も多い。

 

左門くんは〇〇

 そんな二重の意味で「天使」の天使ヶ原さんと対をなす左門くん、主人公でありながらはっきりと「悪人」とされるひねくれ者です。

 彼は人間の自己中な欲望と、それによる破滅を見るのが大好き。金を目当てに媚びへつらう九頭龍くんの食欲を暴走させ、胃袋のキャパシティ以上に詰め込もうとするエピソードが象徴的ですね。

 てっしーに対しても、二度寝で遅刻させようとするわ、急に食欲を沸かせるわ、クラスメイトを助けてと頼み込むところをやたら煽るわと。「良い人」の彼女の「欲望」を引き出すべく悪魔を好き勝手に運用します。

 

 それらを抜きにしても、通学や鍵のピッキングや風呂の湯沸かしと、日常からして魔界のエリートを平然と使役する始末。悪魔は一度召喚されると召喚士には逆らえないため、己の上司への攻撃であっても止められません。

 ご安心下さい、ちゃんと地獄の悪魔から滅茶苦茶に憎まれています。被害者の会まで設立されている。クズが根拠もなく慕われていたりはしません。転校初日の自己紹介でやらかしたせいでクラスからも孤立しています。そんな彼にさえも優しさを忘れないてっしーすげえ。

 

 先述のように彼が望むのは人間の「欲望」。「人を助けて欲しい」であっても本心であれば欲は欲。また、てっしーのような「良い人」が暴力で理不尽に死ぬのは「何も面白くない」。なんで、助けるときはちゃんと助けます。クズながらに美学がある、外道一辺倒でないキャラですね。

 なお天使ヶ原さんの横暴な物言いは好みだそうで。手加減を知らない悪辣な暴言を無差別に振りまく彼女の正反対の偽物は「理想的」「最高」「本物にも見習って欲しい」とべた褒め。それを受けてのてっしーの左門くん評は必見。

 

 キャラプロフィールによると「彼がどんな人間なのかを知っていく作品でもある」とのこと。同ページには「弱さの象徴のようなキャラ」とあんまりなコメントがありましたが……。どうやら2巻収録分以降ではヘタレ列伝が生まれていくそうなので楽しみにしています。

 

荒ぶる故に釣り合う聖邪

 歪みに歪んで注文の多い悪人の左門くんと、温厚で心優しいがたくましく時に荒ぶる天使ヶ原さんとでバランスが取れているのがミソですね。天使ヶ原さんがやられっぱなしではなくズケズケと文句を口にしていて、しかし大いなる慈愛は確かで人間からも悪魔らも慕われているという。

 妙にイガイガしてパズルのどこにも嵌まらないピースでも柔ら かなクッションには収まってしまう。が、尖った方は柔軟なクッションが気に食わないので、屈折した理想に基づく硬さや形に変えてしまいたい。うん、左門くん鬱陶しいな。

 

他には、被害者の面々……もとい悪魔の皆さんも個性的ですね。ここで初めて存在を知った悪魔も多いです。「ブーシュ"ヤンス"タ」だから語尾が「ヤンス」という発想には脱帽。2巻からはネビロス以外にも悪魔勢のメインキャラが増えるとか。

 

 ちなみに同作者による読みきり作品「モロモノの事情」も収録されています。ヒロインのロボっ娘が可愛かった。

 第2巻は3月4日、第3巻は4月4日に発売予定。2ヶ月連続刊行です。

左門くんはサモナー 1 (ジャンプコミックス)

左門くんはサモナー 2 (ジャンプコミックス)

左門くんはサモナー 3 (ジャンプコミックス)

*1:こと九頭龍くん